SaaS・PaaS・Iaasの違いについて分かりやすく解説

近年、インターネットの普及によってビジネスのスピードがより速く、変化が激しくなっています。このような環境において、クラウドサービスは非常に重要な役割を担っています。AmazonのAWSやMicrosoftのAzureなど、柔軟に変化に対応できるクラウドサービスが広く普及しています

クラウドサービスには、利用形態に応じて『SaaS、PaaS、IaaS』といった種類があります。この記事では、それぞれのサービスの内容や特徴、メリットとデメリットについて解説します。

SaaSとは

SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ソフトウェアをクラウド上で提供するサービスです。SaaSについては、「SaaSとは」の記事にてより詳しく解説しています。

SaaSとは-特徴やメリット・デメリット・代表的なサービスを解説 - Genial Technology

SaaSとは、クラウドコンピューティングの一形態を指します。本記事ではSaaSの特徴やメリットデメリット、SaaSを導入する際に確認ポイントについて解説します。

ジーニアルテクノロジー

PaaSとは

PaaSとは、Platform as a Serviceの略で、クラウドサービスの一種です。このサービスは、アプリケーションの開発や運用に必要なプラットフォームを提供します。

PaaSのサービス提供会社は、アプリケーションを開発するために必要な基盤を提供することで、開発者はアプリケーションの開発に必要なインフラの管理や設定の手間を省くことができます。つまり、PaaSを利用することで、開発者はアプリケーションの開発に集中する環境を確保することができます。

PaaSの概要・特徴

PaaSの概要と特徴は以下の通りです。

1.アプリケーション開発に特化

PaaSは、アプリケーション開発に必要なプラットフォームをユーザーに提供します。これにより、ユーザーである開発者はアプリケーションの開発に集中する環境を確保することができます。

2.プログラミング言語の選択肢が豊富

PaaSは、複数のプログラミング言語に対応しています。ユーザーである開発者は自分の好きな言語を選んでアプリケーション開発が可能です。

3.スケーラビリティが高い

PaaSでは、必要に応じてリソースを追加することができます。自動スケーリング機能などによって負荷に応じて自動的にスケールアップが可能です。

PaaSの代表例

PaaSの代表的なサービスとしては、Amazon Web Services (AWS) が提供している【AWS Elastic Beanstalk】、マイクロソフトが提供している【Azure App Service】、Googleが提供している【Google App Engine】などがあります。
これらの元となっているAWS、Azure、GCPは世界中で広く利用されているIaaSで、各社がシェアを競い合っているクラウドサービスです。この他にもクラウドサービス各社は多数のサービスを提供しており、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキングなどが含まれます。

PaaSのメリットとデメリット

PaaSのメリット

PaaSのメリットは以下の通りです。

• アプリケーションの開発に集中できる
  PaaSは、開発に必要な基盤を提供しているため、ユーザーである開発者は自分でインフラ設備を構築する必要がありません。サーバーの知識はなくとも、プログラミングの知識があれば扱えるサービスであるため、ユーザーは開発に注力することができます。
• 生産性の向上
  PaaSは、アプリケーション開発に必要な環境やツールを備えており、開発者の生産性を向上させる支援体制が構築されています。
• セキュリティが高い
  PaaSは、セキュリティ機能を提供しています。バージョンアップが適宜実施されるため、アプリケーションのセキュリティ面についてユーザーが気にかける範囲を限定することができます。
• コストの削減
  PaaSは、必要なリソースだけを利用できます。そのため、ハードウェアや設備の購入、メンテナンスに要するコストなどを抑えることが可能です。コストを削減しながらプログラミングに注力することで、高品質のアプリケーションを開発することができます。

PaaSのデメリット

一方、PaaSのデメリットは以下の通りです。

• サービスの利用制限
  PaaSは、利用できる基盤やツール、プログラミング言語のバージョンなどはサービス提供会社によって決まっているため、ユーザーによるカスタマイズが難しい場合があります。
• 安定稼働の担保
  PaaSは、サーバーの停止や障害によって、アプリケーションが停止する可能性があります。
  さらに、サービス提供会社によっては、サービスを突然中止する可能性もあるため、ユーザーはサービス提供会社に依存することになります。

IaaSとは

IaaSは、Infrastructure as a Serviceの略で、システムの構築に必要なサーバーや各種機材、ネットワークなどのインフラ環境そのものをクラウド上で提供するサービスです。具体的には、物理的なサーバー、ストレージ、ネットワークなどのITインフラをクラウド上で提供し、ユーザーはそれらを必要に応じて利用することができます。

ただしIaaSにおいては、ユーザーは自分たちでアプリケーションをインストールして管理をおこなう必要があります。つまり、サービス会社はインフラの提供までしか行わず、それ以降の管理や保守はユーザー自身が行う必要があるということです。

IaaSの概要・特徴

IaaSの概要と特徴は以下の通りです。

1.インフラ環境の提供

IaaSは、サーバーやストレージ、ネットワークなどのITインフラを提供するサービスです。ユーザーはこれらのリソースを必要に応じて利用し、自分たちでOSやアプリケーションをインストール、管理できます。

2.スケーラビリティ

IaaSでは、必要に応じてリソースをスケールアップ、ダウンできます。これにより、ユーザーは必要な時に必要なリソースを追加できるため、コストの最適化につながります。

3.運用の自動化

IaaSでは、自動化ツールやAPIを利用することで、インフラの運用を自動化できます。これにより、運用作業の削減やエラーの解消につなげることが可能です。

4.グローバルな展開

IaaSは、グローバルな展開が可能です。世界中にデータセンターがあり、ユーザーは必要な地域にリソースを割くことができる体制が整備されています。

IaaSの代表例

IaaSの代表的なサービスとしては、AWSが提供している【Amazon EC2】、マイクロソフトが提供している【Azure Vrtual Machines】、Googleが提供している【Google Compute Engine】などが挙げられます。これらのサービスは、広範囲なサポート体制を持ち、様々なOSでの運用が可能です。また、これらのサービスは、インフラ開発における多数の関連サービスを提供しており、ユーザーは自由な開発をおこなうことができます。

IaaSとPaaSの違い

IaaSとPaaSはどちらもクラウドサービスでありますが、以下のような違いがあります。

1.提供するサービスの範囲

IaaSは、仮想マシンやストレージ、ネットワークなどの基盤を提供し、ユーザーは自分でアプリケーションやデータベース、ミドルウェアなどを設定しなければなりません。一方、PaaSはアプリケーション開発に必要なプラットフォームや環境を提供し、ユーザーはアプリケーションのコードやデータベースの設定などをおこなうだけで、簡単にアプリケーションを開発・展開することができます。

2.自由度の違い

IaaSは、ユーザー自身が自由に構成を設定できるため、自由度が高く柔軟性があります。一方、PaaSはプラットフォームが提供する環境に制限されますが、その分環境設定が容易であるため、開発者はアプリケーション開発に集中することができます。

3.メンテナンスの負担

IaaSは、ユーザーが自分でインフラのメンテナンスをおこなう必要があります。一方、PaaSはサービス提供会社が管理しているため、メンテナンスの負担を軽減できます。以上のように、IaaSは基盤を提供するサービスであることから自由度が高い反面、メンテナンスの負担が発生します。一方、PaaSはアプリケーション開発に特化したサービスであるため、開発者の負担が少ない反面、自由度については一定の制限が設けられています。

IaaSのメリットとデメリット

IaaSのメリット

IaaSのメリットは以下の通りです。

• 柔軟性
  IaaSは、開発の自由度が高いため、必要に応じてリソースの追加や削減ができます。
  ビジネスの成長に応じて、最適な環境を構築できるため、柔軟にサービスを利用可能です。
• コスト削減
  IaaSでは、必要なリソースだけを利用できるため、ハードウェアや設備の購入費用などの不要なコストを抑えることができます。
  また、自動化ツールを使うことで運用作業を効率化できるため、メンテナンスコストも最小限に抑えられます。
• セキュリティ
  IaaSはデータセキュリティやバックアップ、復旧などのセキュリティ機能を提供しています。このため、ユーザーは安心してサービスを利用できます。
• グローバル展開
  IaaSは、国内だけではなく世界中で利用できます。
  海外展開を考える企業にとっては、スピード感を持ったビジネス戦略の策定が可能になります。

IaaSのデメリット

一方、IaaSのデメリットは以下の通りです。

• 技術的な知識が必要
  IaaSは、ユーザー自ら環境を整備する必要があるため、利用には技術的な知識を持っている必要があります。
• 障害への対応が必要
  IaaSは、ユーザーの責任範囲が広いため、セキュリティやバックアップ体制の整備をする必要があります。また、システム障害なども自ら対応しなければならないため、保守体制の整備などにより、時間や費用面での負担が発生する可能性があります。
• スケーラビリティの設計が必要
  IaaSは、スケーラビリティが高いメリットがある反面、システム設計時には注意が必要です。
  思わぬ設計ミスが発生する可能性があるため、開発において影響範囲を見極わめる視点が求められます。

まとめ

SaaS、PaaS、IaaSはクラウドサービスであるという点は共通していますが、それぞれのサービスには大きな違いがあります。企業が最適なサービスを選択するためには、自社の戦略やビジネスモデルに合わせて検討することが重要です。
最後にSaaS、PaaS、IaaSの違いを一覧にてお示しします。

	SaaS	PaaS	IaaS
サービス内容	ソフトウェア	プラットフォーム	インフラ
コスト	低	中	高
スケーラビリティ	低	中	高
保守管理	サービス提供会社	サービス提供会社	ユーザー

本記事をクラウドサービスの利用選定に活用いただければと思います。