残高確認状とは?その目的や種類、監査手続における位置付けについて

残高確認状とは?その目的や種類、監査手続における位置付けについて

残高確認状とは?
その目的や種類、監査手続における位置付けについて


会計監査を受ける仕入先から送られてくることがある「残高確認状」は、その仕入先からの売掛金の残高確認などを求められるのですが、いきなり届いた時には「何をどうしたら良いの?」と驚いてしまうこともあるでしょう。
今回は、経理業務を行う中で残高確認状が送られてきた場合、そして送る立場になった場合に知っておきたい「残高確認状」について、

  • 残高確認状とは何か
  • 確認状の目的や種類、対処の仕方
  • 監査手続における残高確認と確認状の役割
  • 会社側での確認作業に関すること
  • 確認状の電子化の流れ

などを解説します。ぜひ、最後までご覧いただき参考にしてください。

残高確認状とは

まずは、残高確認状を送る目的や対象となる勘定科目、確認状の種類、簡単な対処法について解説します。

確認状の目的は?

残高確認状は、取引先と共通した認識で計上されるべき勘定科目を、定期的(四半期や半期)にお互いの残高を確認することで一致させておくために送付するものです。自社と仕入先の取引における「売掛金の残高」は基本的には一致するもので、経理作業のタイミングによって少しずれがあったとしても調整すれば問題はありません。
一方で、計上漏れや確認漏れなどにより一致しない場合、そのままだと大きなトラブルになる可能性があるため、それを避けるために行うのが確認状です。
また、監査手続として残高確認状を送付することがあります。その目的は、監査は粉飾が行われていないかどうかを確かめることです。粉飾で一般的に行われるのが売上の過大計上(売掛金を実態より多く計上することで、成績が良いように見せかける)なので、それを確認する方法として確認状を送ります。
なお、確認状は、外部企業からの回答を文書で得られる手続として証明する力が強く、比較的簡単に行えることから、信頼性が高いものと考えられています。

確認状の対象となる勘定科目

確認状は、以下のような勘定科目に対して送付することができます。

  • 受取手形
  • 売掛金
  • 貸付金
  • 棚卸資産(外部(*)で保管されているもの)*倉庫業や運送業者、外注加工業者
  • 有価証券(外部(*)で保管されているもの)*保護預け又は担保として
  • 支払手形
  • 借入金
  • 買掛金
  • 偶発債務
  • リース債権、債務

これらの確認状を送ることで、自社で計上されている金額が正しいかどうかがわかり、外部からの証明として効力のあるものとなります。

確認状の種類

確認状を送付して回答を直接入手して評価する手続のことを、監査では「確認」と呼びます。確認には「積極的確認」と「消極的確認」があります。

積極的確認
確認状に記載した金額や、他の情報について確認先が同意するか確認先が有している情報を記入するように依頼する確認方法。必ず監査人に回答することを求めるものです。

消極的確認
確認状に記載した金額や他の情報に確認先が同意しない場合だけ、回答を求めるもの。監査人は、回答がないことをもって確認先が情報に同意したという監査証拠を入手したことにならないことに注意が必要です。

「積極的確認」と「消極的確認」では、積極的確認の方が証明力が高いため、監査では積極的確認による証拠入手が行われることが多いですが、ケースによってはどちらも組み合わせて実施することがあります。

届いた場合、どう対処すれば良いのか?

では、実際に監査法人から確認書が届いた時にはどのように対処すれば良いでしょうか。ここからは、担当者が知っておくべきことについて解説していきます。

●回答しなければ催促が来続けるため、早めに回答するに越したことはない。
基本的に、確認状がきた場合には、期限を意識しながら早めに対処することが重要です。作業自体は難しくなく、確認状には、勘定科目と金額が記載されていますので、自社の記録と合っているかどうかを確認します。

●確認状の内容と相違がなければ返信用封筒にて送付
送られてきた確認状の内容と自社の認識が一致したら、相違がない旨を記入して返信封筒で送付します。必ず、返信用封筒で送ることが重要で、宛先は監査法人などになっていることを確認しましょう。また、相違のある場合には違いと原因を記入して、返送してください。
取引先に返送すると改ざんの可能性があることから、監査手続としてやり直しになってしまうため、注意が必要です。

監査手続における残高確認

監査における残高確認とは?

監査手続における「残高確認」とは、財務諸表項目に関連する情報について、監査人が会社の取引先等の第三者に対して、文書などにより問い合わせ、その回答を直接入手して評価する監査手続です。

会社側での確認作業 

確認作業は、監査法人だけでなく会社側でも行います。
会社側での確認作業は、基本的には会計ソフトによって試算表(現金や預金、売掛金、買掛金などの残高に関する数値)が計算されて出てくるため、その試算表の残高が正しいかどうか、信頼性の高い外部証拠との一致を確認します。この外部証拠には、会社が独自に取引先へ送付した残高確認メッセージへの返答が含まれます。
こういった確認作業は基本的に手作業になるため、担当者はかなりの負担を強いられてしまうのが現状です。

電子化の事例

確認手続は、書類の発送や確認など多くの手間がかかりますが、とても重要な作業です。ただし、人の手で行うためミスが起こったり郵送によるタイムラグが起こったりしてしまうため、近年、確認手続が電子化されるようになってきています。例えば、日本公認会計士協会や一部の監査法人では電子化システムを開発し、運用が始まっています。

また、電子化のメリットは次のようなことが考えられます。

●書類の郵送が不要
確認手続を電子化することで、郵送のための手続が簡略化されます。自社も相手企業も負担が減るため、電子化の大きなメリットと言えます。

●郵送によるタイムラグの解消
確認手続は、郵送によって書類を送りそれをまた返送してもらう必要があります。電子化することで、郵送よりも早く依頼を送り、返送もスムーズになります。また、期日までに完了されるべき手続が多いため、タイムラグをなくし監査の早期化が期待できます。

●人為的なミスの削減
確認手続は、どうしても人の手で作業を行うため、人的・物理的なミスが起こりがちです。電子化するメリットとして、誤発送や紛失といった人的・物理的なミスを削減することができ、機密情報の保護にもつながることが考えられます。

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まとめ

今回は、残高確認状に関する基本的なところから電子化のメリットまでを解説しました。経理業務に関わる中で、確認手続に対応することは多くあると思います。監査手続は、期日通りに正確に記載して返送する必要がありますが、これからは紙媒体のものが電子化する可能性もあります。急な対応が必要になっても臨機応変に対応することができるよう、事前にしっかりと把握しておきましょう。