OCRをDXに活用しよう - OCR APIとOCRアプリのメリット/デメリットについて

OCRをDXに活用しよう - OCR APIとOCRアプリのメリット/デメリットについて

OCR(Optical Character Recognition)は、画像やPDFファイルなどの文書データを電子テキストデータに変換する技術です。DX(デジタルトランスフォーメーション)においても、OCRは様々な場面で活用されており、文書データを管理したり、データを効率よく処理したりするために欠かせません。
OCRをDXに活用するには、OCR APIを利用する方法と、OCRアプリを導入する方法があります。それぞれについて、メリットやデメリットを比較してみましょう。

OCRとは

OCRは、画像やスキャンされた文書から文字を読み取る技術です。OCRは、画像やスキャンされた文書をコンピューターが理解できるテキストデータに変換するために使われます。

人間は、紙に書かれている文字を無意識に理解しますが、コンピューターは自動的に読み取ることができません。そのため、紙に書かれた文字をデジタルデータとして活用するには、一度、人間が読み取って文字に変換する必要があります。これがデータ入力と呼ばれるものです。しかし、文字を入力するだけの単純作業は非常に効率が悪く時間がかかります。この作業を人間の代わりに行ってくれるのがOCRです。

AI-OCRは、OCRにAI技術を加えたものです。AI技術を組み合わせることで、機械学習による文字認識率の向上や、帳票フォーマットの設計をせずに、項目を抽出することが可能になりました。

OCRの用途

OCRは、文書の管理やデータベースの構築、文書の検索、テキストの抽出、文書の変換、電子出版、その他多くの用途で使われます。

例えば、スキャンされた古い文書をデジタル化する場合、OCRを使うことで、画像をテキストデータに変換して、コンピューターで閲覧や編集ができるようになります。また、画像やPDFで保存された文書をテキストデータとして抽出したい場合も、OCRを使うことで、テキストデータを取り出すことができます。

OCRを使うことで、文書の管理やデータベースの構築がよりスムーズになり、文書の検索や変換も容易になります。

OCR技術の変遷

OCR技術は、1960年代に登場して以来、様々な技術的進歩を遂げてきました。ここでは、OCR技術の主要な変遷を紹介します。

  • 1960年代:最初のOCRシステムが開発されます。これらのOCRシステムは、白黒画像からのみ文字を認識でき、非常に単純な文字フォントしか認識できませんでした。
  • 1970年代:OCRシステムは、カラー画像や多種多様な文字フォントを認識する能力を持つようになりました。また、OCRシステムは、画像から文字を抽出する前に、画像処理技術を使って、画像をクリーンアップすることで文字の認識精度を向上させるようになりました。
  • 1980年代:文字の書体や文字間隔を自動的に認識する能力を持つようになりました。これにより、OCRシステムは、さまざまな書体や文字間隔を持つ文書からも文字を正確に認識できるようになりました。
  • 1990年代:OCRシステムは、スキャン画像からの文字認識だけでなく、写真やビデオからの文字認識も可能になりました。また、多言語を同時に認識する能力を持つようになりました。
  • 2000年代以降:OCR技術は、深層学習や自然言語処理などの新しい技術を採用することでさらに進化しました。これらの新しい技術を採用することで、OCRシステムは、より自然な文書や手書き文字からの文字認識が可能になりました。また、クラウドコンピューティングやモバイルデバイスの普及に伴い、OCRシステムは、クラウドやモバイルデバイス上での動作が可能になりました。

現在では、OCR技術は、文書スキャンやデジタルアーカイブ、テキスト抽出、自動文書分類など、様々な用途で利用されています。また、OCR技術は、自然言語処理や画像認識とともに、人工知能や機械学習の技術の一部としても活用されています。 

OCRの主要サービス

  • ジーニアルAI (株式会社ジーニアルテクノロジー)
    ジーニアルAIは証憑書類(PDF)からOCRで必要とするデータを抽出してExcelデータと自動照合する自己学習型のプラットフォームです。代表的な読取項目について、証憑(PDF)ページ上のどの位置にどの項目が書いてあるかなどのOCR設定を自動生成できます。
    ジーニアルAIはOCR機能に加えて、PDFとExcelを自動的に照合する機能も提供しているという特徴があります。
  • DX Suite (AI inside 株式会社)
    DX Suiteは市場シェアNo.1のAI-OCRです。一般的な「AI」技術を使う時に言われている、特別なチューニングや事前学習は必要がなく、誰もが簡単に利用を開始していただけます。手書き、PDF、活字、FAX、写真で撮った書類まで、帳票に含まれるあらゆる文字を高精度で認識が可能です。
  • CLOVA OCR (LINE株式会社)
    CLOVA OCRは、多言語に対応したテキスト検出と文字認識サービスです。紙面や画像に記載された文字、文章をテキストデータへ変換します。
    CLOVA OCRの認識精度は、文書解析と認識に関する国際会議(ICDAR:2019/3/29時点)では4分野にて世界No. 1を獲得しました。 専門用語の認識などで高精度と評価されました。
  • スマートOCR (株式会社インフォディオ)
    スマートOCRは紙の文書や帳票をスキャン・撮影された画像データからテキストデータを抽出するクラウド型業務効率化支援ソリューションです。スマートOCRでは、AIによるディープラーニングを活用し、従来のOCRでは難しかった、手書き文字や非定型帳票などにも対応した高精度の読取を実現します。

制約

OCRにはいくつかの制約があり、使用する場合に注意する必要があります。

  • 画像の解像度:OCRは、画像の解像度が高いほど、より正確にテキストを認識することができます。低解像度の画像の場合文字がぼやけているため、OCRにとって画像が汚れているように見えることがあります。このため、画像の解像度が低い場合、OCRは文字を正確に認識することができず、誤った文字を出力することがあります。
  • フォントの種類:OCRは、標準的なフォントの種類を認識できることが多いです。しかし、珍しいフォントやカスタマイズされたフォントの場合、正確に認識することができない場合があります。
  • テキストのレイアウト:OCRは、テキストが横書きであることを前提としています。縦書きのテキストや、文字が重なっている場合、OCRは正確に認識することができない場合があります。
  • 言語の種類:OCRは、一部の言語しか認識できない場合があります。言語を選択することで、OCRがその言語を認識できるようになる場合があります。

OCR APIとは

OCR API (Application Programming Interface)は、OCRサービスのコンピュータインターフェースです。OCR APIは、OCRサービスの基本的な機能を、人間の代わりにソフトウェアが操作するようにシンプルなインターフェースで提供します。OCR APIの典型的な形態は、プログラミング言語用のライブラリであり、また、httpで通信するWebサービスです。これらは通常、コンピュータ言語を理解し、あらかじめ定義されたフォーマットでデータを要求します。

APIの定義

APIとは、Application Programming Interfaceの略で、プログラムを構築するためのインターフェースを提供するものです。APIは、あるコンピュータシステムやサービスが提供する機能を、別のプログラムから呼び出すことができるようにするものです。

OCR APIを利用するには、APIを提供する企業からAPIキーを取得する必要があります。APIキーは、APIを呼び出すアプリケーションを識別するためのものです。取得したAPIキーを使用して、OCR APIを呼び出すことで、異なるプログラムやサービス間でデータや機能を共有することができるようになります。これにより、様々なアプリケーションやサービスを組み合わせて、より豊富でカスタマイズされたサービスを提供することができるようになります。

OCR APIのメリット

OCR APIには次のようなメリットがあります。

  1. 他のサービスやアプリケーションとの連携ができるため、様々な用途で使用できる
  2. データを取得するためのコードを書かなくても、APIを呼び出すだけで使用できるため、開発が容易である
  3. 高度なOCR技術を持つ企業が提供するため、認識精度が高いことが期待できる

OCR APIのデメリット

OCR APIには次のようなデメリットがあります。

  1. 有料のものが多く、使用するには費用がかかる場合がある
  2. 使用するにはプログラミングの知識が必要である場合がある

OCR APIの代表的なサービス

代表的なOCR APIサービスには、次のようなものがあります。

  1. Google Cloud Vision API:Google Cloudが提供するOCR APIサービスです。画像やPDFファイルからテキストを抽出できます。
  2. Amazon Textract:Amazon Web Servicesが提供するOCRエンジンです。画像やPDFファイルからテキストをラベル付きで抽出できます。
  3. OCR.space:Web上で使えるOCR APIサービスです。画像やPDFファイルからテキストを抽出できます。

これらはあくまでも代表的なものであり、OCR APIサービスにはさまざまなものがありますので、自分に合ったものを選んで使用することができます。

OCRアプリとは

OCRアプリは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースをベースにした総合的なサービスです。OCRアプリは、Webブラウザから直接利用できるOCRツールです。Gmailのようにブラウザ上に表示される一連のWebページの場合もあれば、Microsoft Accessのようにインストールが必要なローカルアプリケーションの場合もあります。OCRアプリを使用するには、アカウントの登録やログインが必要な場合があります。

OCRアプリのメリット

OCR アプリには次のようなメリットがあります。

  1. 使い方が簡単であるため、初心者でも扱いやすい
  2. スキャンした文書や画像から直接文字を抽出するため、手軽である
  3. ソフトウェア開発なしにOCR結果を扱いやすいフォーマットで出力することができる

OCRアプリのデメリット

OCR アプリには次のようなデメリットがあります。

  1. OCR APIに比べて、連携できるサービスやアプリケーションが限定されるため、様々な用途で使用できない場合がある
  2. スキャンした文書や画像が汚れている場合や、文字の大きさやフォントが異なる場合にも、正確に文字を識別することができない場合がある

OCRアプリの代表的なサービス

  1. Adobe Acrobat:Adobe Acrobatは、PDFを作成、編集、共有するためのツールです。OCR機能を持つAdobe Acrobatを使用することで、スキャンした文書や写真からテキストを抽出することができます。
  2. Microsoft OneNote:Microsoft OneNoteは、ノートアプリです。OneNoteを使用することで、スキャンした文書や写真からテキストを抽出して、ノートに記録することができます。
  3. ABBYY FineReader:ABBYY FineReaderは、OCRソフトウェアを専業とするABBYYが開発したサービスです。ABBYY FineReaderを使用することで、複数言語に対応した文書の翻訳やデータ入力の自動化ができます。

結論

OCR APIは、すでに開発された、あるいはこれから開発するソフトウェアにOCR機能を組み込みたい場合に適しています。その他の場合、特にソフトウェアのプログラミングをしたくない場合や、同じフォーマットのPDFページがたくさんある場合は、OCRアプリがお勧めです。
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